6歳上の姉が一緒に行くはずだった友人が行けなくなったとかで私にまわってきたのです。
ユーミンなんて初めて聞く名前で、姉からコンサート話しを持ち掛けられたときに「ムーミン?」と聞き返した記憶があります。
コンサートのステージには大きな観覧車があり、姉からとても凄い人だと聞かされていたので
「凄い人なんだよね。ありがたい、ありがたい」
とコンサートを楽しみました。途中で衣装替えをしたユーミンが客席の扉から出てきた時は、小学生なりに興奮しました(笑)。
ユーミンがそのコンサートで話したことを今も時々思い出します。
ある夜、ユーミンが家で仕事をしていた時、外は雨が降っていたそうです。
雨が窓を濡らし、その窓をつたう雨のしずくをしばらく見ていると、水滴はまっすぐと窓の下に落ちていくものや、他の水滴と一緒になり少し大きな水滴になるもの・・・
この話しの締めくくりがなんだったのかよく覚えていないのですが、みんなシーンとその話しに聞き入っていました。私もその1人で、そのユーミンの話しを聞きながら想像したユーミンの仕事部屋と雨の様子のイメージが今も頭の中に鮮明に残っています。
小学生の私は、そんな雨のしずくのような日常の小さなことを、こんな大きなコンサートホールで、大勢の人の前で、マイクを使って話して良いの?そういうのありなの?
と、とても新鮮な驚きを覚えました。
考えてみると、あれが私にとって最初の「アートな感覚」との出会いだったんじゃないかな~と思うのです。
私だったら物干しの雨のしずくの美しさについて語りたい。